痛風とは
痛風とはどんな病気?
痛風は何らかの理由で関節に尿酸が溜まってしまい、炎症によって赤く腫れ、激痛が生じる病気です。
尿酸は全身の関節に溜まりやすく、そのため症状は関節部分に多くみられます。中でも、足の親指の関節で発症することが多いです。
この尿酸は水に溶けにくい性質があり、過剰になってしまうと血中や尿中で「結晶」を作ります。この結晶が、痛風を発症させる要因となります。
痛風は「贅沢な病気」といわれることがありました。これは、過剰な栄養摂取が痛風発症のリスクを高めてしまうためです。確かに、それも一理ありますが、痛風は「尿酸の代謝がうまくいっていない」ために起こる病気です。
単に「食習慣を改善する」というだけではなく、まずは体の代謝の機能に問題がないかを正しく検査することが望ましいと考えます。
尿酸が溜まってしまうのはなぜ?
尿酸は本来、体液に溶けて、尿や便によって体外へ排泄されていきます。その尿酸が溜まってしまうのはなぜでしょうか。
尿酸は、プリン体という物質が体内で代謝されてできる、代謝産物です。プリン体は食べ物から摂取するものと、肝臓で生成されるものがあります。
生成された尿酸は、すべて体外へと排出されるわけではありません。体内には常に一定量の尿酸が保たれていて(尿酸プール)、供給と排泄のバランスを図っています。
このバランスが崩れてしまうと、結果的に尿酸が溜まりやすくなります。その原因は、大きく分けて2つあります。
1:尿酸が過剰にできてしまう
要因として考えられるのは以下の通りです。
- プリン体の代謝酵素の異常
→肝臓の機能に何らかのトラブルが生じている。 - 細胞が壊れて起こる血液の病気(溶血性貧血)
- 腫瘍の細胞が壊れる病気(腫瘍崩壊症候群)
- プリン体が多い食品の過剰摂取
以上のような要因によって、尿酸が過剰にできてしまうと、血液中の尿酸値が増えてしまいます。
2:尿酸の排泄がうまくいかない
要因として考えられるのは以下の通りです。
- 腎臓の機能が低下している
→尿を作る働きに問題が生じ、尿酸を捨てられない。 - 脱水症状
→循環する血液量が減少し、腎血流が低下すると、尿が十分に生成されない。 - 体液が酸性に傾く(アシドーシス)
→尿が溶けにくくなることで、排泄量が減少する。
以上のような要因によって、尿酸の排泄がうまくいかないと、血液中の尿酸値が増えてしまいます。
また、この1と2が同時に起こる場合もあります。
痛風予備軍である高尿酸血症
尿酸の代謝がうまくいかず、血液中に尿酸が増えてしまい血中尿酸濃度が高くなった状態を、高尿酸血症といいます。
尿酸値が高い状態をそのままにしておくと、体外へ排泄されずに蓄積されてしまった尿酸によって、痛風の症状が出やすくなります。
よって、高尿酸血症は痛風の予備軍といえます。
高尿酸血症から痛風への進行
大きく3つの段階を踏みながら、痛風へ進行します。
- 自覚症状がない時期
尿酸の基準値は超えていながらも、症状が出ていない状態です。健康診断などで発覚することが多いです。 - 痛風発作が繰り返し起こる時期
適切な治療を受けずに放置すると、発作が繰り返し起こるようになるため注意が必要です。 - 常に痛みの症状がある時期
痛風が進行してしまった状態です。適切な治療を受けなかったり、治療を中断してしまうと、慢性化していきます。
痛風の症状を放置してしまうと、高血圧症や脂質異常症などの合併症を招きやすい傾向にあります。
痛風発作がみえはじめた段階で適切な治療をしておけば、重症化を防ぐことができますので、早めに受診するようにしましょう。
もちろん、健康診断等で異常を指摘された段階で、しっかりと改善するのが一番望ましいです。
痛風の症状
痛風になるとどうなる?
痛風発作とは
痛風の典型的な症状は、足の親指の付け根や関節部分の腫れ、そして激痛です。これを痛風発作といいます。
痛風発作は睡眠中や明け方に起こることが多いです。痛みや腫れの症状は半日ほどでピークとなり、あとは数日かけて症状は軽快します。
発作が起こる頻度は個人差もありますが、一般的には年に1〜2回程度です。発作がない時期は、目立った自覚症状も起こりません。この期間に体質の改善を図ることで、痛風の再発を食い止めることができます。
その他、痛風に伴う症状は?
痛風結節
足の関節部分や耳や皮下に尿酸が溜まり、痛風結節という小さなコブのようなものができることがあります。これは体液に溶けきれなかった尿酸が結晶を作り、体のあちらこちらに溜まる病気です。
痛風腎・尿管結石
尿酸が腎臓に溜まると、痛風腎と呼ばれる病気に発展します。
高血圧や脂質・糖代謝異常が重なると、腎機能が著しく低下し、腎不全へと進行するリスクが高まります。
また、尿中の尿酸が結晶を作って石を生成し、尿管に引っかかることがあります。これが尿管結石です。