はじめに
甲状腺のご病気との向き合い方
甲状腺のご病気は「治りにくい」というイメージを持たれる方も多いかもしれません。
確かに治療が長期に及ぶケースもございます。一方で、適切な治療を受けて頂くことで、甲状腺の機能は正常へ戻ることも多く、その後、健康な方と同じ生活を回復することもできます。
当院では、患者さまのご不安をできるかぎり取り除くことを大切にして、「甲状腺のご病気との向き合い方」をお伝えしていくことを心がけております。
ご不明な点、ご不安なことは、いつでもご遠慮なくお尋ねくださいませ。
甲状腺の特徴
甲状腺とは
私たちが食事によって摂取した栄養は、体内でエネルギーや栄養素などへ変換され活用されます。
この仕組みは「代謝」と呼ばれるもので、甲状腺はこの代謝を調節している臓器です。甲状腺で作られるホルモンが、体内にある様々な臓器の代謝を促します。
甲状腺ホルモンは「全身を元気にする働き」を持つとても重要な臓器です。このホルモンの働きによって、私たちは活発に日々の生活を営むことができます。
甲状腺ホルモンによる作用
- 食べたものを吸収してエネルギーに変換する
- 細胞の代謝を促す
- 体や骨の成長を促す
- 脳の発育を活性化させる
- 思考を活発にする
- 体温を適切に保つ
- 血液中のコレステロール値を調整する
甲状腺のご病気による症状
甲状腺疾患に当てはまる症状をチェック
全身の臓器や細胞の働きを活発にする甲状腺ホルモンですが、甲状腺のホルモンが多い、少ないと言った異常を認める場合には、様々な自覚症状が現れることがあります。
最初のうちは、その原因が甲状腺の異常となかなか気が付かれず、診断と治療まで、やや時間がかかってしまうこともございます。
以下の該当する症状が多ければ、甲状腺のご病状が疑われます。
ご相談の多い症状パターン1
- イライラする
- 集中力が続かない
- せっかちになる
- よく食べているのに痩せる
- ドキドキする、脈が速くなる(増える)
- 暑がりになる(汗をかきやすい)
- ひどく疲れやすい
- 手の指が震える
以上のような症状です。
体が元気すぎるような、空回りしている状態が続きます。これらは、甲状腺ホルモンが多い場合によく認められる症状です。
甲状腺ホルモンが過剰となる状態は「甲状腺中毒症」と診断され、その代表的な原因として「バセドウ病」が挙げられます。
ご相談の多い症状パターン2
- しんどい、疲れやすい
- やる気が出ない
- もの忘れが多い
- それほど食べていないのに太る
- 脈がゆっくりと穏やかになる
- 寒がりになる
- 声が枯れやすい
以上のような症状です。
これらは、甲状腺ホルモンが少ない場合によく認められる症状です。
甲状腺ホルモンが不足する状態は「甲状腺機能低下症」と診断され、その代表的な原因として「慢性甲状腺炎(橋本病)」などが挙げられます。